なぜ日本は毎年借金を増やすのか|財政赤字と特例公債のしくみ
「税収は過去最高」というニュースが続く一方で、日本は毎年30兆円規模の借金を重ねています。なぜ、税収が増えても借金が減らないのでしょうか。財政赤字が生まれる構造と、その返済に向けた指標を解説します。
税収が過去最高でも赤字が続く理由
近年、日本の税収は物価上昇や企業業績の好調を背景に、毎年のように過去最高を更新しています。それでも財政赤字が解消しないのは、税収の伸び以上に歳出が増えているからです。
歳出増の中心は、高齢化で自然に膨らむ社会保障費と、積み上がった借金の返済・利払いにあたる国債費です。この2つが歳出全体の半分以上を占め、しかも構造的に増え続けるため、税収がいくら増えても追いつかないのが実情です。結果として、令和8年度も歳入の約4分の1を新たな借金で賄っています。
建設公債と特例公債(赤字国債)
国が発行する国債は、大きく2種類に分かれます。一つは「建設公債」で、道路や港湾、公共施設など、後世に資産が残る事業の財源にあてられます。将来世代もその便益を受けるのだから、負担を分かち合うのは合理的だという考え方(建設公債の原則)に基づいており、財政法も例外的に発行を認めています。
もう一つが「特例公債」、いわゆる赤字国債です。これは社会保障費や人件費など、資産が残らない経常的な支出を賄うための借金です。財政法はこうした借金を本来禁じていますが、税収不足を埋めるため、毎年度、特別の法律を作って発行を認めています。今では新規国債の大部分がこの赤字国債であり、日本の財政が経常的な支出すら借金に頼っている実態を映しています。
財政健全化の指標──プライマリーバランス
財政の健全性を測る代表的な指標が、プライマリーバランス(基礎的財政収支)です。これは、国債の発行や利払いを除いた、その年の政策的な支出を、その年の税収などでどれだけ賄えているかを示すものです。
プライマリーバランスが黒字になれば、少なくとも新たな政策支出を借金に頼らずに済み、借金残高の増加ペースが抑えられます。政府はこの黒字化を財政健全化の目標に掲げてきましたが、達成は先送りが続いてきました。税収の増加により黒字化が視野に入りつつあるとされる一方、金利上昇による利払い費の増加が新たな逆風となっています。
財政赤字を減らすには、突き詰めれば「歳出を減らす」か「税収を増やす」しかありません。社会保障の給付と負担のバランス、経済成長による税収増、そして無駄の削減──これらをどう組み合わせるかが、日本の財政運営の根本的な課題です。
よくある質問
Q. プライマリーバランスが黒字になれば借金は減りますか?
A. プライマリーバランスが黒字になっても、過去の借金への利払いがあるため、直ちに残高が減るとは限りません。ただし、経済成長率が金利を上回れば、GDPに対する借金の比率は下がっていきます。
Q. 日本は財政破綻しないのですか?
A. 日本国債の大半が国内で保有され、円建てである点が安定要因とされますが、金利上昇局面での利払い増や、少子高齢化による財政悪化はリスクです。持続可能性の確保が課題とされています。
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本コラムは財務省・各省庁の公表資料をもとに作成した解説記事です。最終更新: 2026-07
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